国分牧場さんは、埼玉・東松山にあるのホルスタイン雄の肥育やさんです。

國分さん（上段・真ん中）とは、エコフィードの餌やさんのご紹介でお会いしました。

初めてお会いして食事をご一緒したときに、ワインをたらふく飲んだのを覚えてます。笑

国分牧場さんは元々、生協さん向けのホルスタインの肥育をやられているのですが、

奥様である由佳さんの「子供に安心・安全な牛肉で作ったハンバーグを食べさせたい」

という思いから、2011年に直売所をつくり、自分たちが育てた牛の小売り販売を始めたとのこと。

というのも、牛を育てていても、一般的には生協さんに出荷して終わりで、

ご自身たちの口に入ることもほとんどなかったそうなのですが、

その年に東日本大震災が起こり、知り合いから安心・安全な牛肉がどこで買えるか、

聞かれることも増えたこともあり、それならばと、

生産者自身による直売という新しいチャレンジに踏み切ったそうです。

直売を始めることで、それまでのように

生協さんに販売する用のホルスタインだけではなく、

一般的に市場がなくて、行き場のなかった、

ジャージーやブラウンスイスなどの希少な乳用種の雄牛たちの

肥育にもチャレンジすることができるようになったそうです。

それらのお肉が仕上がり、希少牛として販売を始められた頃に

私は國分さんにお会いしました。

その後、牧場にお邪魔して、知り合いみんなで

ジャージー×エアシャーの試食会をしたのをSNSにアップしたところ、

それを見た飲食店のシェフから、ぜひ使ってみたい！

という連絡が入り、それを機に、東京宝山でも

国分牧場さんの希少牛たちを扱わせていただくようになりました。

その後、飲食店のシェフたちから好評価をいただき、

販売先も増えていく中、気付けば、早くも3年くらいのお付き合いです。

今まで、ジャージー、ブラウンスイスの他、

ジャー黒（ジャージー×黒毛）、ガンジー、ブラジャー（ブラウン×ジャージー）、

ブラ黒（ブラウン×黒毛）、エア黒（エアシャー×黒毛）など、

様々な希少な品種を楽しく、美味しく扱わせて頂いてきました。

そんな国分牧場さんのこだわりは①餌の特徴と、②環境の良さです。

まず、①餌に関しては、埼玉県産の稲ワラと、モネンシンフリーの配合飼料。

（モネンシンは抗生物質で、一般的には乳用種の肥育には使われていることが多いです。）

さらに、2014年からは地域のビール会社である「コエドブルワリー」さんのビール粕も

あげています。それまで産業廃棄物として捨てられていたものを

「エコフィード」として有効使用して環境負荷を減らすと同時に

美味しい牛肉づくりにも繋げられています。

また、②環境という点で考えると、

乳用種の肥育農家さんとしては、頭数が130頭ほどと小規模のため、

1頭1頭の細々したケアができることだったり、

また1頭あたりの牛舎スペースを通常の倍くらいと、広くとられています。

赤身の美味しさと、脂質の良さが特徴と、

シェフの方々から好評価をいただく国分牛の美味しさの秘訣は

こんなところにもあるのかなと思います。

そんな国分牧場さんの希少牛を短角牛と同じように、

枝肉の状態で程よく吊るし熟成させてお届けさせて頂きます。

これを機に、国産の牛たちにも美味しい色んな品種がいることを

知って頂けたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

2020.5.9　荻澤紀子